掲載:2008/10/6

11月26日に予定されている国民保護訓練の中止を求める請願への賛成討論

あおぞらの北山早苗です。

11月26日に予定されている国民保護訓練の中止を求める請願に賛成です。

初めに、先ほど共産党県議団の和田議員が一般会計補正予算の討論でも述べられていましたが、私も、危機管理委員会では、「国民保護体制整備事業費」には反対しました。しかし、先ほどの本会議の補正予算の採決には、一括しての提案であるため、やむを得ず賛成せざるを得なかったこと、トライアル信州も同様であることを、申し上げさせていただきます。

少し前に、カントの「永遠平和のために」の新訳本が話題になりました。

生涯生まれた地域から出ることがなかったカントが、1795年に書いたこの本が、何故今のこの時代に、多くの方に読まれているのでしょうか?

カントの生きた時代のヨーロッパは戦乱の時代で、外交官たちの駆け引きで国家が左右されていました。カントは平和とは? 国家とは? を真剣に考え、永遠平和論を書いたのです。

しかし、200年以上経った今でも、永遠平和は実現されていません。

カントによれば、「隣あった人々が平和に暮らしている状態は、決して自然な状態ではない」と言うのです。

現実は、争っている状態だからです。

カントは観念的ではなく、この現実をどう解決するか考えました。

カントは、「平和はすーっと来るのものではない、平和への道は悪戦苦闘して開かれるもの、努力して国家が平和連合し、あらゆる戦争を永遠に終わらせることだ」と言いました。

それを明確に謳っているのが、日本国憲法であり、永遠平和を努力し求めることは、私たちの使命なのです。

今回、長野県で国と共同して行われる国民保護実働訓練は、国民保護法に基づく、テロ等の緊急対処事態を想定した訓練とのことです。

ビッグハットでは姿の見えないテロリストにより化学剤が散布され、観客100人が汚染されたと想定、長野駅では化学剤を所持したテロリストが構内に立てこもったと想定し、500人もの動員された住民等が、通常どおり駅が営業される中で、避難を演じるそうです。

テロと言われて思い浮かぶのが、9.11に始まるイラク戦争です。

永遠平和を努力し求めるため戦争を禁じている日本国憲法の精神を、日本政府は忘れ、アメリカ主導の「対テロ戦争」に関与しています。

国民保護法は、正式名称を「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」と言います。

このことからして、テロが何を示すのかは、言わずもがなです。

ところが、危機管理委員会での、私の質問に対する部長の答えは、この訓練の裏にある戦争や戦時下における銃後訓練に触れることはなく、「議員は、松本サリン事件をお忘れですか」というものでした。

動員される県民の中には、看護学校の学生も大勢いるようですが、定義が曖昧で実体がないテロという言葉で恐怖心を煽って正当化し、大勢が動員されて演じられる実働訓練に、戦時下の訓練のイメージを抱くのは私だけではないはずです。

それから、松本サリン事件はテロだったのでしょうか? この事件で長野県民が忘れてはいけない事に、えん罪があります。被害者である市民が、バケツでサリンを合成したとなどと半年以上も疑われました。

それが、地下鉄サリン事件を未然に防げなかった事に繋がっているのではないかという疑問が、私にはあります。

さて、請願書名議員の森田議員の選出区である下伊那郡高森町では、毎年、広島に平和のバスを送り、町民の家族を派遣しています。

町で は、昭和33 年に「核兵器禁止」の決議、34 年に「平和町宣言」の決議、そして58 年には「非核宣言」の決議をしました。

高森町国民保護計画には、「決して戦争を肯定するものではなく、先ず、国が平和主義と国際協調の下に平常時からの不断の外交努力により、世界平和と安定を図り、戦争を未然に防ぐことが何より重要で す。」とあります。

そして、「高森町は、さまざまな国際問題の解決の手段として、武力攻撃事態等が起こらないことを祈るとともに、次代を担う子供たちのためにも世界の恒久平和実現に向けて、これからも平和

行政に取り組んでまいります。」と書かれています。

県は、高森町のような、平和への努力をしてきたのでしょうか。

更に高森町では、この3月に平和市長会議に加盟したそうです。

加盟都市は、9月1日現在で、世界131カ国の2195都市となり、県下では7市町村が加盟しています。

毎年8月15日に多くの市民とともに平和式典を行ったり、中学生を広島に派遣している松本市も加盟していると知り、誇りに思いました。

県がなすべきことは、有事を想定した実働訓練を行い、銃後の守りを市町村や住民に負わせることではありません。

高森町や松本市など平和行政に取組む自治体や、平和を願う市民の活動を支援する事ではないでしょうか。

ところで、国民保護実働訓練のために用いられる予算は1500万円以上、これに対して10月14日に行われる長野県新型インフルエンザ対応訓練は、予算がほぼ0とのこと。

私はこの予算は全く逆だと思います。

実体のないテロではなく、差し迫った危機である新型インフルエンザ対策にこそ、多くの予算が使われるべきです。

6月末に行われた医療関係者向けの新型インフルエンザ研修会に於いて、県立須坂病院の感染症制御部長の医師と、県の健康づくり支援課長は、「新型インフルエンザが発生すれば、大流行ではなく大災害になります」「それは、起きるかもしれないと言う段階ではなく、何時起きるかという段階に入っています」と言っていました。

1500万円が、国から来るお金であるのなら、県は、「新型インフルエンザ対策の方に、使うべきだ」と、国に対してしっかり言って欲しいと思います。

長野市では、10月18日から「花はどこへいった」という映画が上映されます。アメリカにより、ベトナム戦争で大量に散布された化学剤である枯れ葉剤のダイオキシンが、世代を超えて癌や生まれな がらの障がいを起こさせ、土地を蝕み続けている事を通して、戦争の悲劇を訴える作品です。

この映画をつくった坂田雅子さんは長野県の出身の方。

坂田さんの夫は、枯れ葉剤を浴びたアメリカ兵の一人で、肝臓がんで亡くなりました。

今、イラク戦争に対しても、アメリカでは反戦の運動が静かに広がっているそうです。

カントの永遠平和や日本国憲法に書かれている、平和を求める努力をあらためて心に誓うとともに、残暑の中、松本駅前で国民保護実働訓練への反対を呼びかけるチラシを配ったり、一昨日は長野市で、「国立市平和都市宣言」をおこなった前国立市長の上原公子さんを招いて、国民保護実働訓練を問う学習会を行った、請願提出者の皆さん、また、県内外で平和の活動を続けていらっしゃる皆さんに、敬意を申し上げ、訓練の中止を求める請願に賛成の討論といたします。

(*残念ながら、反対多数で請願は不採択となってしまいました。)

請第60号
国民保護訓練の中止を求める請願に賛成討論 録画中継

追記

.