掲載:2009/1/14

1月臨時県議会 平成20年度長野県一般会計補正予算案に反対討論

あおぞらの北山早苗です。平成20年度長野県一般会計補正予算案に反対です。

 最初に申し上げておきますが、緊急に経済対策を行う必要性については、反対するものではありません。しかし、今回の村井知事の提案した緊急経済対策は、

(1)安易な県債発行が、再び県の借金を増やす引き金になりかねない

(2)一番困っている失業者の雇用確保と、製造業等の中小企業への積極的な支援に欠け、緊急への対応になっていない

(3)土木建設に偏った公共投資で景気高揚をという古いやり方は、その場限りの対策にすぎない

ということからして、予算案には反対します。

 そして、「緊急であっても、将来を見通した経済対策が必要である」という観点から、知恵を絞って早急に検討し直し、提案していただくことを要望します。

 もう少し詳しく説明します。

 まず、財源として、県債30億円を発行する事について、県民からはとても厳しい意見が寄せられています。「県として借金をする前に、無駄の見直しはしているのでしょうか。極限まで、無駄の見直しをして、知事をはじめ、給料カットくらいまでして、それでも足りないので借金させてくださいと、県民に言えるような検討はなされたのでしょうか」という意見です。

 20年度の県税収入が、当初見込みよりすでに200億円減収になるということですが、経済情勢の悪化で更なる減収も考えられ、大変厳しい財政状況である事は明らかで、安易な県債の発行は押さえるべきです。前倒しと言うなら、21年度はその分の事業費を削るのかという質問や、「公債の発行は元金償還額の範囲内」の約束についても、明確な答えがいただけませんでした。これでは、県民に協力いただきながら、せっかく長野県の借金を減らして来たのは、一体なんだったのかと言うことになります。

 県民の皆さんからのご指摘通り、まずは、県議会も含め給与の見直しをするべきです。「民間では収入が減ればボーナスも減るか出ない。県税収入が減っているのに公務員だけそのままと言うのはおかしい」という、本当に厳しいおしかりの声、これを真摯に受け止めず、新たな借金を安易にするような緊急経済対策には、賛成できません。

 次に失業者の雇用確保ですが、村井知事は、12月19日の記者会見で、臨時職員の緊急雇用について、「市町村レベルなら離職者を雇うことはあり得るが、都道府県レベルではイメージしにくい」とおっしゃっていますが、田中前県政下では、実際、IT不況の平成14〜15年度に於いて、臨時職員・嘱託職員の大幅採用を実施した実績が有ります。今回、佐賀県では200人分を臨時職員や嘱託職員などとして緊急的に直接雇用します。

 長野県でも、知事は「都道府県レベルではイメージしにくい」という発言を撤回し、直接雇用をしたり、土木建設に偏った公共投資ばかりではなく、雇用に力点を置き、失業した方々が働く人材が不足している福祉分野などへ入れるよう、知恵とお金を回すべきです。

 ハローワーク松本によれば、生産工程・労務職の求人倍率は10月の0.46から11月0.39と益々下がっているのに対して、専門・技術職の求人倍率は11月になっても2.53と高く、また、製造業の新規求人は対前年度比で10月がマイナス47.9、11月がマイナス38.5と、大きく落ち込んでいるのに対して、医療・福祉の新規求人は11月の対前年比がプラス26.8と、求人が増しています。

 知事も、1月5日の記者会見で「福祉の分野も結構人手が足りないということで、そういうところへ入っていただければ」と仰っているのですから、なぜ、今回の緊急経済対策でそこに踏み込まないのでしょうか。介護の仕事はきついのに給料が安すぎて、せっかく資格や意欲を持った若い人たちが、結婚も子育ても出来ないと辞めてしまうのが現状です。国でも何らかの手だてを考えているとは思いますが、それを待つのではなく、県の緊急雇用対策として、介護保険への上乗せ支給や、要支援の方々もがもっと生活介助を受けられるように補助する、あるいは、新規雇用をした事業所への直接補助等を行うべきです。

 今回の経済対策の前倒事業には、学校の耐震化など住民生活に密着した土木建設事業も数多く含まれていて、新たな道路やダム建設という大型公共事業より優先されるべき事業である事は言うまでもありません。しかし、それよりも優先すべき緊急課題は、雇用の確保です。

 中小企業の支援についても、今回の緊急経済対策中、中小企業融資制度資金の拡充としての『緊急借換対策枠』は、現況のもので行えると予算措置がありません。借換対策枠を設ける事に異論はありません。しかし、融資の審査では、本当に資金を必要としている中小企業が利用できるよう、中小業者の経営に精通した専門家が温かい目で審査を行うことや、セーフティネット保障の運用改善などが必要で、もっと実効性のある融資制度に見直し、そのために必要があれば予算措置も行うべきです。

 最後に、緊急とは言え、応急措置的な対策ばかりではなく、先を見越した対策も必要です。経済不況は長期になる事や更に悪化する事が予想されるため、産業構造の転換を視野に入れた取組みも、どんどん始めるべきです。

 オバマ次期アメリカ大統領は「我々は、今、2つの危機に直面している」と述べています。1つは100年に1度の経済危機、もう一つは地球温暖化による環境の危機です。この2つの危機を乗り越えるために、オバマ氏は500万人規模のグリーン雇用の推進を掲げています。また、環境経済学者のレスター・ブラウウン氏は「グローバル経済を生態系と調和するものに再構築しなければならない。持続可能な新たなる経済、エコ・エコノミーの選択こそが、経済と環境の危機を乗り越えるものだ」と述べています。

 自然環境や中小企業の技術力に恵まれた長野県こそ、その先頭に立つべきではありませんか。いい加減に、「土木建設工事の公共事業を増やせば、景気が良くなる」という古くさい発想は止めて、ダム建設や新たな道路建設等の大型公共事業は見直し、給与カットや徹底した歳出削減で公債費の発行を極力抑え、福祉や環境部門への産業構造の転換を図り、雇用を増やす政策に、あらゆる知恵を絞って待ったなしで取組むのが行政の役割、今一番必要な『緊急』の経済対策です。

 それに比べたら、今回の経済対策は少しも『緊急』とは言えず、そのための一般会計補正予算案には反対します。真の緊急経済対策を提案し直す事を求めて、終わります。

  

追記

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